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『空手の理』柳川昌弘

 ご存知、身体的なハンデにも関わらず超人的な稽古で克服し、達人とも言われる域に達した柳川昌弘先生の著書です。
 この本には、自伝的エピソードと、技術論の両方が収められています。
 この方のお話はぶっ飛びすぎていてにわかには信じがたい箇所もありますし、オーラがどうとかいった話は正直ついていけないのですが、映像で見る不気味なまでの「速さ」は本物です。単に速度が速いというより、論理的なステップが省略されて瞬間移動しているような、不思議な種類の速さです。
 技術的な内容では、順突きについての解説が興味深いです。「前手突きは逆突きより強い」という項目があります。

 前手による順突きは飛び込み突きと原理は同じことである。(・・・)ただ自分より体格で勝る相手には正面から正攻法で攻撃するのはやや難しいので工夫を要する。ただし正確な寄り足さえマスターするなら必ずしもそのかぎりではない。(・・・)
 寄り足は順突きの場合と同じようにまず両足の膝の力をゆるめ、次の瞬間前足を軽く蹴って前進力の指導をかけるとともに、後足(軸足)にかかる体重がゼロになるようにした瞬間、後足をねがり強くバネのように蹴って前進力を更に加速する。前足はその時、初めに床を蹴った勢いを利用して更に腹筋で釣り上げるようにして着地点をより遠い前方にするよう走り幅跳びの要領でなるべくももを引きあげる。前足はそののち後足の着地のタイミングに一瞬先んずるように合わせ更に全欧に踏み込むようにして距離とスピードをかせぐようにするのである。腰もまた着地と同時(一瞬前)から強く切り身体も必要に応じて前傾して体を開き、突くと同時に元の体勢に戻る。
 このようにことばで説明するとわかりにくいだろうから、初めは強く突くことをやめて、なるべく遠方を体全体を使って手でさわりに行くような気持ちで練習することが大切である。

 全くどうでもいいことですが、柳川先生はスゴイ方なのに、いつもバンダナだけが気になります。門下生の方は誰もツッコめないのでしょうか。あのバンダナは一体・・・いや、いいです・・・すいません・・・。

空手の理
柳川 昌弘
福昌堂 2007-03
yryr

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