大相撲の元・一ノ矢氏による、四股踏みなどの相撲稽古法を一般向けに紹介した本です。四股は軸足の筋肉を鍛えるものではなく、股関節とその周囲のインナーマッスルを鍛え、「型」を作るもの、とされています。
あくまで一般向けに相撲稽古を応用したものなので、それほど突っ込んだ内容が書かれているわけではなく、基本的に①腰割り②伸脚③股割り④四股⑤蹲踞⑥テッポウ⑦スリ足のみを詳しく図解したものです。
この説明が様々な角度からの多様な写真を使い、詳しくかつシンプルに分かりやすく工夫されているため、健康法や稽古の一環として四股などの稽古を導入したい、という方にはとても便利になっています。わたし自身、別に相撲をやっている訳ではなく、稽古の一部として四股踏みをやりたいと思って購入したので、とても参考になりました。
ちなみに、モデルは空手家の小林由佳さんがされています。一般向け書籍としては、力士の写真よりは圧倒的に見栄えが良いので(笑)、大正解だと思います。個人的には、元・一ノ矢さんご自身の写真が見たかったですが、多分そうすると売上がグッと落ちたことでしょう・・。
巻末には四股に役立つトレーニングとして、股関節や肩関節のトレーニングがいくつか紹介されていますが、これもなかなかオススメです。股関節を内旋・外旋して上げる動きは、写真で見た時は「簡単でしょ」と思っていたのが、やってみると思った以上に自分の身体が固く、愕然としました。
筑波大学人間総合科学研究家教授の白木仁先生との対談も収録されています。
このように、四股踏みの入門書として優れている本書ですが、個人的には、一緒に収められている元・一ノ矢氏の大相撲入門記が非常に面白かったです。身長の足りない元・一ノ矢氏が、あちこちの相撲部屋で断られた末、頭にシリコンまで入れて何とか大相撲の力士になる回想録です。この文章がとてもユーモアに富んでいて面白く、氏の他の本も読んでみたくなりました。元・一ノ矢氏はユーモアのセンスが素晴らしいです。
元・一ノ矢氏の文章では高岡英夫氏が何度か引用されていて、高岡理論ファンのようです。確かに高岡理論には参考になる部分が沢山ありますし、言っていること自体はかなり鋭いところを突いていると思います。個人的には、高岡英夫氏の商売の仕方や人間性にはちょっと疑問もあり、単なる好き嫌いとしてはあまり好きではないのですが・・(昔、統一棒などを購入して稽古していたこともあります)。
ちなみに、股割りのところでは、便利な補助具としてフレックスクッション
日本伝統のコアトレがすごい! シコふんじゃおう 元・一ノ矢 ベースボール・マガジン社 2009-02-25 |