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『小林直樹 躾道館武術 2 太氣至誠拳法篇』小林直樹

 小林直樹先生のDVD後編、太氣至誠拳法篇です(前編紹介記事)。
 構成としては、
太氣拳とは
立禅

太氣拳の推手

道具を使った練習
太氣拳と太極拳
探手
 となっており、オーソドックスな作りです。
 ただ、内容的には他の太氣拳DVDとは異質で、刺激になりました。
 太氣拳・意拳は先生によりかなり風格が異なり、誰が見てもすぐ分かるように、太氣拳は一般に意拳より腰の低い形が多いわけですが(しかしそこが本質ではない)、小林直樹先生の太氣拳は格別低いです。お弟子さんたちもかなり低く構えます。
 また半禅の形を「空手の猫足立ちのように」とおっしゃり、前足の踵を高く上げて爪先立ちした姿勢をとられます。
 這の説明の時には、重心が移った時に肘が膝の直上に来るように、という要諦をお話され、それを確認するために縄跳びの縄を垂らして練習するユニークな方法を紹介されています。
 最近の太氣拳の先生方は、多かれ少なかれ意拳の影響を受けている印象がありますが、小林直樹先生の太氣拳は「元祖・澤井拳法」といった感じで、澤井先生の本にあったあの「クラシックな太氣拳」にとても近いです。小林先生はしきりに澤井先生のエピソードをお話になりながら、その所作を演じて見せるのですが、これも写真で見た澤井先生の感じにとても似ています(本当に似ているのかは澤井先生を見たわけではないので知りませんが・・)。澤井先生が剣の構えを使って攻撃を潰す動作を演じて見せたり、澤井先生が示されたらしい「とある武道家と立ち会った時の動き」を再現されたりします。。小林先生にとって太氣拳とは、「意拳の流れを組む拳法」というより「澤井拳法」なのでしょう。
 意拳・太氣拳の色々な先生の動きを学ぶ上で、変な言い方ですがシーラカンス的な参照点になるように思います。
 小林先生は太氣拳だけをやられている先生ではありませんし、嫡流真伝中国正派拳法と二つの大きな柱を持っている方です。そのため、両者を深い部分で融合させようと工夫しておられるようで、両者の通じる動きなどを演じて見せます。また、太極拳との類似点・相違点にも一項目が割かれています。
 太氣拳の本などで神宮の稽古の一つとしてよく紹介されている、棒で突かせてそれに対処するような稽古も紹介されています。ラストには小林先生の太極拳演武が収められています(王樹金先生の系統のもの)。
 ちなみに、お話の中で至誠塾の高木先生(小林先生の兄弟子にあたる)のお名前が出てきました。

小林直樹 躾道館武術2 太氣拳篇 [DVD]
クエスト 2010-12-17

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