ブルース・リー、ジークンドーに興味のある人なら持っておいて損はない一冊。
ブルース・リーの書き残した覚書などを死後にまとめたもので、技術論から思想的側面まで収録されています。
いわゆる武道・格闘技技術書のように分解写真で説明しているわけではないですし、抽象度が高いためポイントを読み取るのにはちょっと集中力が要りますが、色々と示唆に富んでいます。
ちなみに、全編に散りばめられたイラストはブルース・リー自身によるもの。これが上手い! 本当に多才な人だったのだなぁ、と感じさせられます。
冒頭の哲学的部分から、いくつか気になったフレーズを引用しておきます。
最大のあやまちは、自分の行為の結果を予測することだ。それが勝利に終わるか、敗北に終わるかを考えてはならない。自然の動きにまかせれば、武具が最適のタイミングで行使されるだろう。
「あるがまま」の状態は、思考によってもたらされ、「あるがまま」でいることによって、真の思考が可能になる。しかし「あるがまま」でいようと考えることは、「あるがまま」の状態を汚すことになる。
考えることは自由ではない――すべての思考は部分的だ。それは決して完全にはなりえない。思考は記憶の反応であり、記憶は経験の結果であるため、つねに部分的なのだ。それゆえ、思考は経験にコントロールされた心の反応にすぎない。
截拳道(ジークンドー)への道 ブルースリー 奥田 祐士 キネマ旬報社 1997-05 |