前に落ちる常歩による打ち込み

 常歩による木刀素振りのことを書きましたが、最近なかなかイイ感じに振れるようになってきました。
 今頃やっとか、と呆れられるかもしれませんが、ようやく膝の抜きで力を使わず入れる感じが分かってきました。
 ポイントは木寺先生が色々教えて下さっていますが、わたしの感覚では、一番重要なのは、打つ以前に胸の辺りを紐で前に引っ張られているような感覚です。これは骨盤の角度と股関節の外旋、上腕の外旋で作ります。この感覚があると、あとは抜くだけで勝手に「前に落ち」ます。逆に、身体が出来ていないとこの感覚ができず、感覚がないといくら動きを作ろうとしてもできません。感覚が出ると、かなりハッキリ分かるので、不気味なくらいです。
 股関節の外旋については、「外旋しよう」と力を入れるのではなく、股関節がフリーになるようなポジションを見つけると、勝手に外旋方向の力が出ます。単に力を抜く感じです。無理に外旋だけしようとしてもうまくいきません。そのためには股割りが非常に有効です。
 また、外旋というと足先を外に向けるように考えてしまいがちですが、そこに意識があると膝下外旋になってしまいます。あくまで股関節の外旋で、この感覚は股の間がスカスカするような感じです。わたしの場合は、「外旋」というより、単に力を抜くと思った方がやりやすかったです。
 前足は膝を沼からズボッと抜く感じです。「力を抜く」と思うと抜けないので、沼から引き抜く感じの方がやりやすいです。
 後足も「力を抜こう」と意識するとかえって力んでしまうことがあるので、とにかく蹴らないこと、それから後足の膝を前足の膝裏に合わせるような、グシャンと一本の軸になるようなイメージを持ちます。
 もちろん、実際に前足の膝裏に膝蹴りを入れるわけではありませんが、後ろから前足の膝にぶつかって一本になってしまう感じがします。
 この時、前足に合わせることを意識しすぎると、膝下外旋状態になるので注意が必要です。実際には離地する瞬間に内旋しているようにも思うのですが、この時には既に地面から離れているので、意識する必要はありません。
 後足(右前構えの時は左足)は、自然に前に出て、前足の拇指球脇に踵が来ます。そのまま前に出しても良いのですが、ここがニュートラルなポジションのように感じます。意拳・太気拳の動きのようです。三角歩で膝を寄せる時の感じです(三角歩でも、蹴って進んだら意味がない)。ただし、スタンスは剣道なのでグッと狭く、前後足が半足程度の構えです。
 この「前に落ちる」感じが分かると、この調子で伸ばしていけば、かなりの距離を一気に詰めることができそうです。
 遠い距離を「落ち」ようとすると、どうしても力んでしまうので、数をこなす必要がありそうです。そもそも、わたしのレベルでは、素振りで何とか格好ができても、実際に相手を前にすると力んでしまってまるで使えません。この辺は絶対量をこなして身体に染み込ませないと、使えるレベルにまでは到達しないでしょう。時間がかかるでしょうが、地道にやります。
 何度も書いていますが、わたしは剣道・剣術はまったくの素人ですので、参考程度に見てやって下さい。最近やたら木刀をいじっているので、段々武器術に惹かれてきていますが(笑)。
 最近課題にしているのは、後ろに下がることです。
 前進は何とかできるのですが、後ろに下がる時にうまく「落ちる」ことができません。どうもそのまま転んで尻餅をついてしまいそうです。