太氣拳の天野敏先生によるDVD。
本編中で先生ご自身が仰っている通り、ちょっと異色の武術系DVDです。音声による説明はほぼまったくなく、全編天野先生が揺や練を行なっている模様が収録されています。
「起・承・転・結」の四部から成り、「起」では揺や練、「承」では這を練のようなペースで行なっているものやその応用、「転」では探手のような動き、「結」では推手が収録されています。また、最後に組手の場面があります。
最後の推手と組手の部分は非常に短く、基本的に天野先生が延々と森の中で動いているDVDです。
キャプションによる説明が時々挿入されますが、音声解説はなく、環境ビデオみたいです。
「転」のパートは「遊」と「打/発」から成っており、前者が割りとソフトな探手の動きなのに対し、後者は激しい発力動作が入っています。このパートは渡辺亮氏によるパーカッションが加えられており、音楽に併せて舞を舞っているような映像です。
コンセプト的には、武術DVDというより武術とダンスの中間のような不思議な映像を作ってみた、ということでしょうか。
実際、特に「転」パートの音楽とあわせられている部分は雰囲気があって美しいです。
ただ、一般の武術DVDや教則DVDのような使い方は出来ません。
個人的に、DVDではなるべく音声で解説を入れてもらった方が嬉しいので(キャプションだと画面を凝視しないといけない)、キャプションを入れる部分はナレーションの方が良かったかな、と思います。多分、自然音だけの環境ビデオっぽい作りにしたかったので、敢えてナレーションを入れなかったのだと思いますが。
DVD>天野敏の拳舞 ( 天野敏 ビーエービージャパン 2000 |