『地上最強の中国拳法 意拳 武術中級編・武術上級編』孫立

 孫立先生による意拳DVD第二弾です(前編についてはこちらに書きました)。
 武術中級編では、初級でも紹介された基本的な站樁について、新たな意念が紹介されます。加えて、降龍樁、独立樁といった高度な站樁が示されます。初級同様、意念で描くイメージが映像にされています。
 試力については、神亀出水試力、猫洗顔試力が説明されます。神亀出水試力は、昔の孫立先生の本だと「神龍出水試力」と表記されていたのですが、龍が亀になりました。個人的には亀の方が好きです。猫洗顔試力は、イラストによるイメージ説明で巨大な猫がプギャー!とか言っていてちょっと面白いです。
 続いて、試力と歩法を同時に行うもの。開合試力歩法、推拉発力試力、発力試力歩法が紹介されます。
 次に三角歩。初級で映像だけ出ていたものです。引き手でタオルを引きちぎるようなイメージで、ということで、実際に新聞紙を引きちぎります。その時お弟子さんがちぎった新聞紙をその場に捨てているのですが、ちゃんと片付けたか気になります(どうでもいいことですいません)。
 次いで発力。上への発力、下への発力が説明され、孫立先生がお弟子さんの胸を打って実演されます。また、寸勁の実演もあります。
 その後、片手推手、散打。散打は特に説明なく、孫立先生の門下生による散打映像が流されます。オープンフィンガーグローブで顔面寸止めによる自由組手です。極真との繋がりが深い団体のせいか、極真っぽい雰囲気の人が結構います。門下生レベルの組手を見る感じだと、太気拳などと比べるとガードが低く、蹴りが多用されています。
 次に武術上級編。
 冒頭では孫立先生の大成館本部での稽古風景、ローマでのセミナー風景およびコロセアムでのスパー映像(イメージ風)が流れます。道場での稽古は皆道着姿で号令がかけられ、雰囲気的に空手っぽいです。
 続いて、それぞれの站樁についての更に追加される意念、鳥難飛樁、伏虎樁の変形版が紹介されます。
 試力は片手発力試力、横発力試力、続く歩法では半歩崩拳、さらに推手で両手推手が紹介されます。
 その後の発力で片手発力、横発力が説明されるのですが、これらを用いてローキックやハイキックを弾く方法が例示されます。練習では軽めのローを足の発力で防いでいます。流石に極真の全力ローをこれだけで耐えるのはキツイように思うのですが、鍛錬を積めば可能になるのでしょうか。
 全体に、初級編同様、お金のかかったしっかりとした作りで、教材としてよく出来ています。セミナーのついでなのでしょうが、ローマロケあり、コロセアムでの撮影など、一般の武道・格闘技DVDではちょっと見られない手のかけようです。
 初級編ではナレーションによる説明が主でしたが、中級・上級では孫立先生が映像内の肉声で説明されている場面が結構あります。
 エンディングではNG集風に、ローマで孫立先生がイタリア人とふざけあっている場面が入っており、可愛い一面が見られます。
 タイトルの「地上最強」といい、どことなく昔の「地上最強のカラテ」風のノリが感じられます。内容そのものは教科書的なのですが、ナレーションが一々大げさだったり、音楽が派手だったり、「極真風」です。この辺は、孫立先生ご自身というより、映像の作り手の意気込みを感じます。
 個人的には、やたら演出の派手な煽り系の武道・格闘技DVDは好きではないのですが、まぁこれくらいはサービスとして良いのかな、とも思います。

B004ZJK912地上最強の中国拳法 意拳 武術中級編・武術上級編 [DVD]
クエスト 2011-08-20