『小林直樹 躾道館武術 嫡流真伝中国正派拳法篇』小林直樹

 躾道館の小林直樹先生によるDVD。太気拳篇の前編となるものです。
 嫡流真伝中国正派拳法というおどろおどろしい名前から神秘がかったものを予想していたら、いきなり拳立て・指立てから始まったのが意外でした。
 続いて、一歩踏み込んで空手のように攻撃する相手に対し、自然体の受け手が技を返す、という約束組手形式で、技が一つ一つ紹介されていきます。八級の技、等と紹介されているので、躾道館では初級で学ぶ技術のようです。
 ほとんどが体裁きでかわしつつ中に入り打つ、というもので、受けてから突く(蹴る)のではなく攻防が一体となったものです。
 こうした技は、約束組手ではできても実際に使うとなると非常に難しいものですが、その辺はどのようにクリアされているのか気になるところです。
 続いて、約束自由組手?のような、「使う技は決まっているけれどタイミングはフェイントも含め自由」という形式の稽古が紹介されます。登場するお弟子さんは身体能力が高そうです。
 試合等では必ずしも自然体で立つ必要はないようですが、この無構え・自然体というのが、嫡流真伝中国正派拳法の一大特徴のようです。「空けているのと空いているのでは天地の差がある」という澤井先生の言葉が紹介されます。自然体で立つことにより、左右の動きが自由となり、間合いも有利となる、ということのようです。ただし、DVDでは互いに構えたところからの攻防も見られますし、構えた状態からの練習をしない、という訳ではないのでしょう。
 紹介される技法には、岡林俊雄先生のDVD『岡林俊雄 嫡流真伝中国正派拳法』と重複するものが見られます。
 名前の割に、オーソドクスとは言わないまでも、中国武術系ではそんなに珍しくない、堅実な技術でした。ただし、前述の通り、これを実際に使いこなすには相当の練習が要ると思います。櫻公路一顱先生の指導は激烈なものだったそうですが、やはり相当の猛稽古が前提なのでしょう。
 まったくどうでもいいことですが、小林直樹先生のファッションがポロシャツをジャージにインしていて、変なところが中国っぽいです。小林直樹先生は男前なので、普通に道着とか着られた方が映りが良いと思うのですが・・。いや、本当にまったくどうでもいいことで、すいません。

B0042P6IRI小林直樹 躾道館武術 [DVD]
クエスト 2010-11-19