『日本人が知らない体幹の使い方』山田英司 チャモアペット・ハーパラン

 ご存知戦う編集長・山田英司さんが、チャモアペット・ハーパラン氏の実演・監修のもと、ムエタイ独特の身体操作を解説した一冊です。
 山田英司さんは色々な武道・格闘技を理論的に解きほぐし解説するのが素晴らしく上手く、特に中国武術経験者には非常に分かりやすく、目が覚めるようなところがあります。著書はこれを含めて三冊、すべて読んでいますが、大好きです。もっと本を出して欲しいし、あくまで「山田流」で構わないので、色々な武道・格闘技について解説を加えて欲しいです。
 本書も「伸長力・捻縮力」「含胸提胸」などをキーワードに、ムエタイの身体操作を解きほぐしており、とても参考になります。テンカオの基本稽古としての重要性などは非常に納得できるもので、これを読んでからわたしも毎日「伸長・捻縮」を意識してやっています。
 また、前手差し封じも非常に使いやすく習得したいのですが、安易に他の武道に取り入れるとツギハギになりそうでちょっと不安もあります。
 一番「深い」と思ったのは、伸長力を使ったストレートで、本部朝基の写真に見られる突きとの共通性などが指摘されています。これは非常に興味があるのですが、理屈は何となく分かっても、自分で真似をすると思うようにできません。ちゃんと理解したいです。
 ちなみにこのストレートについての下りでは、

 今日では、このような突きを出す空手家は、ほとんど見たことがない。私が知る限りでは、現代の実戦名人と言われる倉本成春・倉本塾塾長のみである。倉本塾長は、波のような身体操作を重視し、突きのインパクトにも、ムチのような動作を加え、それを「抜き」と呼んでいる。

 と、倉本先生のお名前が挙げられており、改めて倉本先生に注目です。
 また、ティープを蹴る時に相手との構え組み合わせによりやや横蹴りぎみ・斧刃脚ぎみに角度を変えてボディ面に足裏を合わせる、というのも面白いです。横蹴りぎみはそうでもないのですが、斧刃脚ぎみはやってみると結構難しいです(わたしが固いだけですが)。
 とりあえずテンカオと膝ブロックからのミドル(これは割と普通の練習ですが)、前手差し封じからのストレートとテンカオは、見よう見まねで一人練習の時に取り入れています。最後のはよく飲み込めていないのですが、とりあえず練習してみます。

4809410307日本人が知らない体幹の使い方 (BUDO‐RABOOKS)
山田 英司 チャモアペット・ハーパラン
東邦出版 2012-04-13