名著ですね。
倉本成春先生が、従来の空手練習法を批判され、より合理的な稽古方法を提言される内容です。DVDも付属しており、とても内容が充実しています。
移動稽古や約束組手も、習熟度に応じて練習方法を変えるべき、と指摘されます。具体的には、従来の稽古方法では、移動は身体の移動が完了し安定してから突くなり受けるなりするのですが、実際は移動しながら攻撃動作等を行います。また、引き手も大きく取らず、ガードを保つようにします。
こうした批判自体は、フルコン系を中心に今までも為されてきたものですが、ただ伝統的稽古を否定するのではなく、その長所を認めながら、段階的により実際に近い形へとステップアップさせていく方法を示されているところが、倉本先生らしいです。
自由組手についても、3秒組手、10秒組手といった試みを紹介されていて、とても興味深いです。
さて、この本・DVDで一番魅力的だったのは、護身・鍛錬型です。
これは倉本先生が、逆技などで使う身体のパーツの使い方を練習するために考案されたもので、先生の演武に続いて、使用法が説明されています。
この動きが実に美しく、先生自身もおっしゃるようにまるで太極拳のように優雅なのに目を見張らされます。
倉本成春先生は、剛柔で言えば剛の極みのような空手を学んでこられた方な訳ですが、その究極の剛において柔の空手へと突き抜けているようです。
倉本先生の動きを見ていると、どこか意拳・太氣拳の動きに通じるものを感じます。こんなことを言ったら、倉本先生門下の方にも、意拳・太氣拳の方にも怒られそうですが、何かそういうものがあるように思えてならないのです。
この護身・鍛錬型を見よう見まねで練習し、そのいくつかを自分より10kgほど重い人に腕をとってもらうなりして試させて貰ったのですが、ヘナチョコのわたしでも使いやすく、本格的に鍛錬すれば非常に合理的な技術になりそうです。
カラテ究極の練習法 倉本メソッドで極意をつかめ(DVD付) (BUDO‐RA BOOKS) 倉本成春 フル・コム 東邦出版 2010-05-07 |