『詠春拳入門―ブルース・リーが学んだ戦慄の実戦拳法』川村祐三

 日本で最初期に詠春拳を紹介した川村祐三氏の、貴重な概説本。
 タイトルも表紙も思い切りブルース・リーで売ろうとしていますが、内容的には地味な詠春拳の紹介本で、ブルース・リーはあまり関係ありません。基本の立ち方、小念頭とその用法、二人組んで行うエクササイズ、それから川村氏の修行談が主な内容です。最後にブルース・リー映画の詠春拳的解釈が入っていますが、「細かく見ると詠春拳の術理には反しており、リーに憧れるならジークンドーをやるべき」とハッキリ言っています。川村氏自身は、こんなにリー要素を入れたくはなかったのではないでしょうか。
 とにかく類書がないので、詠春拳に興味があるなら、とりあえず手元に置いておいて損はないです。
 詠春拳も系統により色々違いがあるようで、川村祐三氏は徐尚田老師の系統です。これは基礎鍛錬に時間のかかることで知られているようです。
 どんな套路もそうですが、小念頭も系統により微妙に異なるようで、川村氏のところを含めて、手元に写真・映像のある三つの系統ですべて細部が異なっていました。
 川村氏は色々あって道場を畳んでしまいましたが、この辺の黒い感じは、武術界のイヤ~なところですよね。もっと常識的にいきましょうよ・・。

4894223007詠春拳入門―ブルース・リーが学んだ戦慄の実戦拳法
川村 祐三
BABジャパン 1998-07