『波の“術理”』倉本成春

 伝説的空手家・倉本成春先生の、多分最新の本です。
 倉本先生は物凄い方なのに、非常に謙虚で朴訥とされていて、人間的にとても尊敬できる方だと思います。DVDを拝見しても、砲丸のような拳をされていて見るからに強そうなのに、自分の説明に対して「こういう言い方で正しいのかは分かりませんが」と一々ことわりを入れられたり、腰が低く、奢ったところが全然感じられません。
 この本で解説されているのは、最近セミナーなどで公開されているらしい無力化技術の基礎となる部分です。ただ、倉本先生がスゴイのは分かっても、波とか抜きとか言われてもなかなかピンと来ません。DVDを見ても、倉本先生が「本物」なのはヒシヒシと伝わってくるのですが、当然ながら真似できるものではありません。
 と、「スゴイのは分かるけど下々の者には分からないよなぁ」と眺めていたのですが、DVDを見ながら「肘の抜きでアッパーを打つ」というのを何気なく真似したら、今までになくスッとイイ感じのアッパーが打てて驚きました。
 わたしはアッパーが苦手で(他のも全部ヘナチョコですが)、どうにも力んでしまって、ない腕力で無理やり打とうとするところがあったのですが、倉本先生のおっしゃる感じを真似したら、(あくまで自分の中での基準ですが)スパン、と抜けるような感じでアッパーが打てました。
 わたしなどに学べたのはこの一点だけで、それにしたって人並みレベルのアッパーも打てていないのですが、それだけでも収穫でした。ちょっと感動しました。
 また、波の習得練習として、「股関節を切る」動きが紹介されているのですが、これは分からないなりに役に立ちそうで、見よう見まねで練習しています。

4809409961波の“術理” 「無力化」も「抜き」も「崩し」も自由自在 (DVD付) (BUDO-RA BOOKS)
倉本 成春 フル・コム
東邦出版 2011-11-22