個人的に山田英司さんのファンなので、推しておきます。名著だと思います。
いや、細かいところを言えば専門家的にツッコミ所もあるのでしょうが、とにかく山田英司氏の武道・格闘技に向かう姿勢にとても好感が持てます。中国武術を学ぶも、疑問を感じ、その後新空手などに参加しながら、再び中国拳法に帰る。これは変節があったというより、山田さんの思考様式を追ってみれば、ある意味必然の帰結だったように思います。おそらく理論的にしっかりしたものを目にすると、とにかくやってみて確かめてみよう、という気持ちが抑えられない人なのではないでしょうか。実際、中国武術には理論だけなら立派で、かつ応用の効くものが沢山あります。ただ、現代格闘技的文脈で「どうやって使うの」となると、なかなかトホホなものもある訳ですが。
前々より山田氏が指摘している「測定可能なものでなければ自信がつかない」というのは同意ですし、そういう視点は非常に大切でしょう。ただ同時に、一武術好きとして、現代格闘技的ではない奥の深いところの本当を知りたい、解明したい、というのは、これもまたとても共感できます。
実は、山田英司氏の道場にはちょっとだけ体験させてもらったことがあるのです(その後行けなくてごめんなさい・・・)。氏の動きは本物です。別に達人だとは言いませんが、氏の言うところの「茶帯の力」的なステップアップをキチンとして、一定の実力に達しておられます。これを実践し、かつこれだけ理論的に分かりやすく説明し指導できる、というのは、稀有な人材でしょう。人間的にも常識人で立派な方です(ちょっと変人ですが)。
八極拳ノート―発勁呼吸と戦闘法概論 (Budo‐ra books) 山田 英司 東邦出版 2005-11 |