刃牙の板垣恵介先生が、自らの経験を通じて様々な格闘家・武道家を語る一冊です。
取り上げられているのは、プロレス、空手、少林寺拳法、ボクシング、中国拳法、合気道、グレイシー柔術。
よく知られていることですが、板垣先生は少林寺拳法、ボクシングの経験があり、ボクシングは国体出場の腕前。そして自衛隊の空挺上がりという、凄い経歴の方です。そういう実経験豊富な方が語るリアリティがあり、かなり読ませる本です。
わたしがこの本を購入したのは、何といっても太氣拳の島田道男先生との一戦が収録されているからです。本書中ではS先生と仮名なのですが、もう有名な話なのでハッキリ言って良いでしょう。
取材にかこつけて訪問するのですが、島田先生の方はもう完全に対道場破りモードです。板垣先生もそのつもりではあったのでしょうが、多分それ以上に島田先生がヤル気満々なのが伝わってきます。
島田先生をその目で見た時点で既に「ヤバイ」と感じている板垣先生ですが、もう後には引けない状況。最初に弟子二人を相手にさせられますが、この時点でかなり苦戦している様子です。そしてその後は島田先生にボコボコの目にあわせられ、「もう二度と会いたくない」と語っていらっしゃいます。
島田先生は印象的に恐ろしい方ですし(普段は実は気さくな方、という噂も伺います)、板垣先生にはご愁傷様です。
でも、板垣先生の気高い犠牲のおかげで、わたしたちはこうして島田先生の実力を知ることができ、また島田先生としても、たまたまボコった相手が大漫画家になってくれたお陰で、その実力を世に知らしめることができたとも言えるのではないでしょうか。
まぁ、島田先生はそんな小さなことには興味がないのかもしれませんが・・。
板垣恵介の格闘士烈伝(グラップラー) 板垣 恵介 徳間書店 1999-12 |