『戦慄!未公開戦闘法 日本人の知らなかった技でもっと強くなる』

 BUDO-RAの達人シリーズ。マニアックな武術を集めたもので、EBMASが取り上げられていたので買ってみたのですが、正直ちょっと微妙な印象でした。
 収録されているのは八極拳(蘇昱彰老師)、アーニス(フィリピン武術、バハド・ズブ師)、カラリパヤット(インド武術、勅使河原覚師)、バーラフィア(インド武術、勅使河原覚師)、EBMAS(詠春拳ベースの護身術、ヨーシュ・ロバート師)、チェンファー・アメリカ(ジョン・パトリック・ニエイトウ師)、ファイブ・フィンガーズ・フィスト(ゲリイ・マギー師)、ムエラボーン(タイ武術、デイシャー・ニッタヤーロス師)。
 毎度ながらこのシリーズのDVDは作りが異様にチープで、撮影・編集とも素人レベルすぎてキツイのですが、まぁそこは目をつむったとして、ちょっと内容的にも今ひとつな部分が多いです。フィリピンのアーニス、タイのムエボラーンについてはなかなか良かったですが・・。もちろん、各武術の質を云々するものではなく、個人的な興味の範囲にかぶらなかった、というだけでしょう。
 EBMASは、指導者のヨーシュ・ロバート氏はそれなりの実力者なのでしょうが、DVDや写真で相手をしている日本の練習生が、演武相手としては正直レベルが低すぎます(ごめんなさい!)。単にEBMASの普及度が低く、まだ人材がいない、ということなのでしょう。その中で一所懸命協力してくださった練習生の方には本当に失礼なのですが、一般に高弟の登場するこうした技法紹介の場面ではどうしてもお粗末に見えてしまいます。
 また、詠春拳ベースと言っても、詠春拳独特の粘る感じとかはなくなっていて、シフティングと「ひっかけ」で解釈しているようです。多分、これは本来の詠春拳の動作ではないのではないかと思いますが、これはこれで有効ということで採用されているのでしょうか。同じ詠春拳と言っても、例えば黄淳樑派の動きとは風格的に相当隔たりがある印象です。
 とりあえずヨーシュ氏が背が高すぎて、日本人と相対している映像を見ると「アンタ体格だけで勝てるやろっ」とツッコミたくなってしまうのは内緒です・・。

4809409708戦慄!未公開戦闘法 日本人の知らなかった技でもっと強くなる 達人シリーズ第十巻(DVD付)
フル・コム
東邦出版 2011-08-06