『フルコンタクトKARATE』2006年10月号 澤井健一の遺産・太気拳

 もう6年も前の『フルコンタクトKARATE』のバックナンバーを買ってしまいました。
 太気拳の特集記事を読みたいがためです。鹿志村英雄、天野敏、島田道男、佐藤聖二の四先生による対談、という、レアもの企画です。他に天野敏先生の寄稿、島田道男のインタビューがあります。表紙もこの四人です。
 対談を読むと、昔の太気拳の稽古の様子や、四人のキャラが分かって面白いです。澤井先生もむちゃくちゃですが、島田道男先生の空気読まなさぶりも凄いです。多分、澤井先生に一番似ているのは島田先生なのではないでしょうか。武道記事のインタビューなのに、思い切りタバコを吸っているのもイイです。他の三人も島田先生のキャラはよくよく分かっていて、「まぁまぁ」みたいなフォローをしているのが微笑ましいです。大人です。
 特集記事の冒頭で、四人がそれぞれ立禅を組んでいる写真があるのですが、三人が同じ道場内(島田先生の道場)での写真なのに、島田先生だけ屋外の写真なのもウケてしまいます。
 島田先生は、職場などにいたら付き合いの大変な性格だとは思いますが、逆にそのストレートで純粋なところが、人を引き付けるのでしょう。絶対サラリーマンには向いていないと思いますが・・・。
 鹿志村英雄先生、佐藤聖二先生については、書籍やDVDなどの情報がないため、人柄を知る貴重な機会です。佐藤先生は若い! 童顔で可愛らしい顔つきです。この佐藤聖二先生の修行時代のエピソードが面白いです。

当時、澤井先生は「太気拳には蹴りは無い。蹴りは、十発蹴ったら七、八発は蹴った人間が損をする」と言ってたんですよ。それなのに私ともう一人の人には蹴りばっかり練習させるんですよ(笑)。あげくの果てには、「君は足が短いな」ですよ(笑)。

 でも、この佐藤先生の蹴り(旋風脚)で、あの島田先生が二度倒されたと言いますから、凄いです。
 佐藤先生は色々な団体と付き合いがあり、澤井先生につく前は王樹金老師の系統を学び、さらに姚宗勲老師からも教えを受けている、貴重な人物です。この付き合いの広さも、佐藤先生の人徳のなす技なのでしょう。
 鹿志村先生も、正月に澤井先生のところを伺ったところ、包丁で短刀取りの稽古をさせられた、というエピソードがあります。澤井先生は「刃は潰してある」と仰っていたそうですが、皆「絶対潰してない」とツッコんでいます。
 天野先生は、顔が黒い(笑)。若い時漁師をされていた時期があるそうですが、今もサーフィンをやっているせいか、よく日焼けしていて、そのまんま漁師フェイスになっています。
 天野先生はダンディで、ウィットに富んだお話をされますが、対談では割とツッコミ役になっています。
 鹿志村先生が澤井先生に「船橋に鹿志村あり、というようになれ」と言われた、という話をされると、「船橋だけじゃちょっとローカルなんじゃないの」とツッコんでいます。